時間の概念を原価計算で表現できるか−美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?

 タイトルからは想像できないが、実はERPが絡んだ管理会計の話。著者は「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」の著書がある林氏。この本はその続編で、前回の話から5年後という設定。以下はAmazonの内容紹介。

父の急死で、経営不振のアパレル会社「ハンナ」の社長に就任した由紀は、安曇教授のアドバイスで見事に会社の建て直しに成功する。5年後、ハンナでは、業務の効率化のためにコンピュータシステムを導入するが、トラブルの連続で現場は大混乱に。「このままでは会社が潰れてしまう」。由紀はふたたび安曇に助けを求める。

 この業務効率化のために選択したコンピュータシステムがERPシステムで、実現のためにERPパッケージ導入するというストーリー。見事に自分の仕事にリンクした話のためさくさく読めた。ERPの意図と絡め、なぜERPパッケージを導入したにもかかわらず効果がでなかったのかを、経営側から管理会計の視点で語られる。
 とくにERPパッケージにかかわるSE、コンサル志望の方々に是非読んで欲しい。なぜERPパッケージを導入するのか、今のシステムは何を目的としたツールとして使われているのか、本当にその目的は達成できているのか、という、現場で仕事をしていると忘れがちな観点を、必ず思い出させてくれるはずである。
 やはりERPのキモはベストプラクティスと管理会計原価計算)なのだと再確認した。会社の人に宣伝しよう。